プラセンタが美肌を作ってくれる理由

顔汗の恐怖

「顔汗」はよく話題に上がる。女性たちに多いだろうか。

私もよく友人と顔汗の話をしている。もちろん、顔汗の話をするために集まったわけではない。
それでも、今使っている化粧品や脂取り紙などの話をする。だいたい、「脂が顔からでなくなる方法」よりも「極力顔の油が見えないように工夫を凝らす」方法で討論となる。

「顔汗」というと、鼻頭が目立ちやすく、続いて額、あごに目立って浮き出ることが多い。
東南アジア、とくに日本人の顔は凹凸が少なく平坦な顔をしている。「平たい顔族」とある映画で呼ばれていたが、否定の材料はどこにもない。
凹凸がすくないため、どこの角度からみても顔の全体像がわかる。脂の目立つ部分が隠れない。鼻はさほど大きくないので、横から見ても、顔全体のテカリは容易に見渡すことが出来る。

問題は、顔の形ではなく、顔汗とその量だ。
女性は、朝に眠気眼でファンデーションを塗り、テカリや毛穴の気になる部分にコンシーラーも追加でほどこしてみる。
その後、午後になると、化粧が剥げてきて、鼻の頭がテカリ出す。
化粧完成から2,3時間でテカリがはじまる人もいる。顔を触る癖がある人はとくにはやい。

お昼の時間帯の化粧室は、脂取り紙で午前中分の脂をぬぐい、ファンデーションをパタパタと顔に叩きつける女子でごった返す。
私もそのひとりだ。私の場合、鼻が一強だ。長年にわたり脂の排出に顔の中ではもっとも尽力し、老廃物をからだの外にこれでもかと出している。
この時間、脂取り紙で顔を拭くのはとても快感だ。手のひらの半分ほどのサイズの紙が、全体的に脂でしっとりしてしまうとへこむ。自分が人間ではなく揚げ物なのかと疑いたくなる気持ちになる。

また、隣の鏡をつかって治している人が自分よりも脂が少なそうに見えると気にさわる。
というよりも、会社の化粧室の一角は、四角いスペースの壁に何枚も鏡が張り付けてあるので、合わせ鏡になっている。よく駅の化粧室も合わせ鏡になっていて、見たいと思わなくても、隣の人に限らず、後ろのひと、斜め後ろのひと、気がむけば全員の化粧直しの様子がみえる。恐怖の構造である。

思い返せば、鼻の脂は、毛穴の大きさにも比例するようだ。鼻の脂が多く、毛穴が大きいと「やっぱり」となる。
そんなに毛穴が拡がっているから、脂がとまらないのだろう。言われたことはないが、どこかからそんな声が聞こえてくるような、不動の事実だ。

学生時代に苦い思い出がある。かねてから、脂はコンプレックスだった。
いつみても顔の良しあしはともかく、脂が気になった。
だが、化粧が解禁になった大学生時代のことだ。コンシーラーもしているし、毛穴は隠せた。午後はさすがに脂が浮いてくるが、それまでは化粧でなんとかテカリ自体もせき止めていた。いや、せき止めたようにみえていた。

授業中に先生から配られたプリントを眺めていた時、
「まずはプリントの内容を頭に入れといてください。もうひとつプリントを持ってくるので待っていて下さい」。
そう言って先生が退出した。
教室にいた学生のほとんどが、プリントを読まずにおしゃべりを始めた。私はまじめに読んでいたが、前に座っていた友人が、私に話しかけてきた。
よく覚えていないが、先生のものまねを始めたような気がする。とても似ていた。あまりに似ていて、さきほど退出したはずの先生が戻ってきたと思い何人かが友人をちらっと振り返った。

私は何気なく持っていたプリントに顔を隠して笑った。
そこで思わぬ恐怖が待っていた。顔を付けてしまったプリントを見ると、私の鼻の形がくっきりとプリントに染みついていた。
ファンデーションがスタンプ代わりになり、はっきりと毛穴の形までプリントにコピーしていた。

私はそれを見て笑顔を失った。鼻の形がくっきりとおしつけられたプリントを誰にも見られぬよう死に物狂いでその時間をすごした。
今でも、顔の脂、顔汗がにくい。

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